【接客のバイブル①】お客様に再びご来店いただく接客「目的をもつ」
接客のバイブル第1話
『お客様に再びご来店いただく接客』第1章「目的をもつ」
はじめに
接客はサービス業の中で核的要素といっても過言ではありません。
良いパフォーマンスをすることで、 他店との差別化になるだけではなく店舗に置かれている商品の価値を上げるといった様々な要素が含まれています。 更には良い接客から生じる店舗の明るい雰囲気が求人採用率につながる効果もあり、 取組み次第で様々な影響をもたらします。
このように、 「接客が重要である」 ことが理解されていてもなかなかその品質向上や環境づくりに取り組めないという声が多数あります。 その代表的な理由として、 「良い接客を意識していなくても、 お客様に怒られないから」 という背景があります。
もちろんお客様を睨みつけ、 言葉遣いが悪く、 金銭授受がなげやり、 など極端に態度が悪い場合は当然クレームに発展します。 しかし、 目を合わせなくても、 笑顔が無くても、 お辞儀が無くてもクレームにまで発展することは滅多にありません。
百貨店など、 高額な商品の取引を要する業態においては接客応対も商品価値に含まれているため、 店側とお客様側双方に 「良い接客をする、 受けられる」 という認識があります。 しかしスーパーマーケットやディスカウントストアなどの小売業態において、 お客様は良い接客を受けられるはずという過度な期待はありません。
優先される項目として 「正確」 「迅速」 「丁寧」 が求められます。
そして欠品や会計の誤りなどのトラブルが起こった際にクレームに発展するケースが多く、 必然的にクレームをおこさないための営業 (業務) をしてしまうのです。 実際に 「愛想がない」 などのクレームがあれば『笑顔を出しましょう』 『明るく元気よく』 と奨励することができますが、 特に何も起きていない状態から行動を起こすことは難しいものです。
必要性の理解があっても業務の優先順位がなかなか変動しないという現状が多いのではないでしょうか。
一方で、 お客様の関心が薄いからこそ、 良い接客をしっかり行った時には大きな付加価値が付き、 お客様が「またこの店に行こう」 と思うきっかけになります。弊社が行う小売業のレジアウトソーシング業務においては、 月に三十件〜四十件もの「お褒めの言葉」 が本部に届きます。 特別なパフォーマンスを指導している訳ではなく、 いつでも一人一人に笑顔で礼儀正しい接客をおこなっているだけですが、 ただそれだけでもお客様に感動や喜びを与えることができます。
お褒めの言葉をいただく=また行こうと思われている
であることは明白であり、 常連のお客様を獲得できた瞬間でもあります。全てのお客様がお褒めの言葉を投書などで伝えてくださる訳ではありません。 従って、 一件の投書の裏には、 同じように感じていらっしゃるお客様が沢山存在するということです。このお褒めの言葉を安定して頂くようになるには、 環境づくりが不可欠です。 共に働く仲間が何を目的として、 誰に自分の能力を活かすのかを明確にすることが近道といえます。 本書ではその目的 ・ 手法 ・ 指導者としての考え方 ・ 知識といった内容を少しずつご紹介していきます。 やらされ仕事ではなく、 自ら行動に移せるような環境づくりと個々が持つ優れた能力をお客様に提供できる、 そんな売り場づくりを目指しましょう。
目的をもつ
共に働く仲間と 「目的」 を共有することで多くの問題は解決できます。いざ目的を設定する、 となった際によく挙げられるのが次の項目です。
・ 笑顔あふれる接客を実践する
・ 商品陳列を綺麗に早く行う
・ ミスをせず登録を行う
・ 売り場で明るく元気な声を出す
これらは一見的を射た内容に思えますが、 全て目的に対する手段といえます。
個々に手段だけを完結させていたとすれば、 各々が好きなことや得意なことにしか専念しないため、「これができているから良い」 という自己満足で終わってしまいます。では共有すべき目的とはどのようなものでしょうか。
「お客様にまたご来店いただく」
この言葉に尽きるのではないでしょうか。
完遂して当然といえる機能的なサービスだけでなく、 リアル店舗ならではの精神的サービスが行われるからこそ、 次回の来店につなげることができます。 この目的は、 作業を教える時や褒める時、 注意を与える時など様々なシーンで紐づきます。
同業他社が乱立する昨今においては商品の差別化が難しいため、 商品以外の 「来店する価値」 を出せるか否かが重要です。新規開店時、
「グランドオープンの気持ちを忘れずに」という言葉が挨拶によく使われます。
新規開店時は売り場も活気づき、 笑顔で目を合わせる接客ができていたのに、 時間経過とともにおざなりになる場合がとても多いです。 暇になってから 「笑顔で接客を!」 と力を入れなおしても、 新規のお客様もいないという停滞したサイクルがはじまります。
そこで重要なのは指導権限を持つポジションの方々です。目的のための方向性を見失わず、 働くスタッフの一人一人の個性を見て指導を続けなければいけません。 急に方向性を変える、 言うことが都度変わるといった目的を持たない指導を繰り返してしまうと、人手不足と客足不足という悪循環に陥ってしまいます。
次のステップでは目的を共有、定着させるための効果的な褒め方、既存店員に刺さる接客の心構えや売り場の定義を
お話します!
この記事を書いた人
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人と接する仕事についたら見るサイト、ヒトトセ編集室です!
ヒトトセでは毎日利用する「街のお店の接客」に焦点を当てて
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飲食料品、日用品といった安全・安心を提供する流通業界は、
たくさんの人の暮らしを支えるライフラインです。
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