無意識的なパワハラ発言・イライラ失言を防ぐには?

みなさんこんにちは。ようやく夏も終わりを迎え、転職や新しくバイト・パートをするという方々も増えてくる時期です。とはいえまだまだ売り手市場の昨今。採用コストを考えると、面接希望の方や新人さんは大切にしたいものです。
しかし、やっと採用した方や社歴の浅い方に対して、毅然とした態度をとるつもりで接して「冷たすぎる」「攻撃的」な発言をしてしまったことはありませんか?もしくは忙しさのあまり、つい怒っているような態度をとってしまったことはないでしょうか。
過ぎた言動はパワーハラスメントと受け取られかねません…今回はそんなパワハラ発言、失言に関する予防・対処法をご紹介します。

新アルバイター・新入社員についイライラしてしまう?

まず、冷たすぎたり攻撃的な発言をしたりしてしまうケースをみていきましょう。新しく入ったアルバイトの方に、集合場所の説明をしていた社員のAさんの場合です。

A「ではお店の地下1階売場まできてください」

新人「はい。あの~…お店へは駐車場横の入口からですよね」

A「そうですけど」

新人「えっと…地下1階売場へはエスカレーターで行くということですよね?」

A「え?いやフツーに。当たり前ですよね?そんなんじゃ仕事になりませんよ」

質問をされたAさんの返答をどう感じたでしょうか?文章を見ただけでも非常に「感じが悪い」ことがおわかり頂けると思います。
このような返事をされた新人アルバイトさんは威圧的な感じを受け、即座に退職してしまう可能性もあります。社員のAさんにとっては通いなれた店なので、店舗の構造知識はあたり前のことかもしれませんが新人さんは理解度が異なります。ただでさえ委縮して緊張していることが多いので、一般的に考えたらわかるようなことでもわからなくなります。初回から慣れるまでの間に行う説明は丁寧すぎるレベルで行うと新人さんも安心できることでしょう。
さて、上記のような言動をしてしまったAさんの感情はどういったものでしょうか。


心理学上では、高圧的な態度・発言は「怒り」に起因していると考えられます。

怒りとはそもそも何?

怒りは、身を守るために備わっている防衛本能のような感情です。思い通りにならないときや、自身・家族が危険にさらされるとき、価値観(こうあるべき、という思想)や立場が脅かされるときなどに「怒り」という感情を使って、危険から大切なものを守ろうとします。問題や脅威に立ち向かうエネルギー源であるとも言えます。
怒り自体は誰にでもある自然な感情であり、無くすことはできません。ただ、怒りの表現が暴言、暴力などの加害として現れるか、相談や説得として現れるかなどの違いがあります。
そしてこの怒りは喜怒哀楽の中でも強い感情であり、一般的には不快を伴うことから「怒りを覚えてはいけない、悪いもの」という評価をされることが多いのですが、怒ること自体は悪いことではありません。先ほど述べた通り問題を解決する原動力になり得るからです。
ちなみに怒りは、第二感情であると言われています。第二感情とは、何かの感情のあとについてくる感情です。では怒りの前にある第一感情とは何でしょうか?ここを理解することが、怒りをコントロールし、暴言やパワハラ発言につながることを阻止する糸口になります。

第一感情を探る

社会人としてパワハラ発言をしてしまいかねない立場の者、つまり上司が部下に対して怒りを覚えるケースというのは、「部下への期待がかなわず悲しい」、あるいは「段取りが狂って困った」「何かあったのではないかと心配だった」このような気持ちが初動として働いているのではないでしょうか。この悲しいや困った、心配などが、第一感情で、その事象を発生させた対象に向けて「怒り」に変わります。
そして、発生した怒りは身体的または心理的な状況により増幅するとされています。
不安や孤独感、罪悪感といったネガティブな感情や、疲労やストレス過多、睡眠不足などのマイナスな状態と言える時、自分でもあとから驚くほど怒ってしまった、という経験はありませんか?または昔と比べて怒りやすくなった、と思うことはないでしょうか。
また、本人は「そこまで怒っていない」という無自覚状態であるにも関わらず「いや怒っているでしょ…」と他者が感じるような発言、態度をとってしまうこともあります。怒りやイライラが積み重なっていると、ベースの状態が「常に怒り」であるため、第一感情を即座に飛び越えて無意識に言葉が強くなり、対応も冷たくなりがちです。

しかし自覚ができていないだけで、しっかりと自己の感情を見つめれば第一感情が発生しています。

怒りを感じた時の伝え方

社会的に上位の立場についている場合、怒りは攻撃として下位の者へ向くことが多いでしょう。そして「相手にも自身が感じた不快を負わせる」という目的だけが先行し、強い言葉遣いや嫌味となって表現されます。せっかく取り付けた面接希望者や新人、新入社員の方々に「この企業に入ってよかった」と感じてもらうには、まず「対応が安心できる」「社員の感じが良い」と思ってもらわねばなりません。さきほどのおさらいですが、怒りの根源には具体的にストレスとなった自身の感情、「悲しみ」があります。自分にとって守るべきルールを破った相手に怒りをぶつけるその前に、以下のような工夫をすることをおすすめします。

ほんの少し間をおく

怒りの陰に隠れているはずの第一感情を見つめようとしてみてください。自分自身の思いや願いに気付くはずです。一呼吸おいて、言葉をゆっくり吟味し、本当に伝えたい気持ちを絞るとよいでしょう。

距離をとる

あまりに怒りが強い場合には、物理的な距離をとることが肝要です。近年、アンガーマネジメントという怒りのコントロール方法が話題になりました。こちらは6秒数えて怒りの強さが治まるのを待つというものです。しかし純粋に6秒カウントしても全く怒りが変わらない、と思う方がいるかもしれません。実は6秒、という秒数が重要なのではなく、「距離」が重要といわれています。

例えば、数メートル離れれば、鉄拳は飛んできません。10メートル離れれば、戦闘だけでなく、逃げるという選択肢も生まれます。怒りの感情をやり過ごすには、6秒ルールよりも、直ちに「その場を離れる」。それが最も効果のある方法です。出典:PRESIDENT WOMAN「6秒間我慢しても逆効果」自衛隊メンタル教官が教える怒りを一瞬で消す”最も効果的な方法” https://president.jp/articles/-/58129

長期的な取り組み

では長期的に怒りをコントロールするにはどのような取り組みをすると良いでしょうか?常に怒りっぽくなってしまっている、という状態を変えるには、脳にアプローチすることがおすすめです。

脳科学的には怒りのコントロールには腹内側前頭前野が関わっていることが報告されている。そしてこれを裏付けるようにいくつかの方法では、腹内側前頭前野の働きを高め、怒りの感情や攻撃行動を弱められることが報告されている。一つはマインドフルネス瞑想による怒りのコントロールである(Rahrigら, 2021年)。この研究では被験者に2週間のマインドフルネス瞑想を行わせることで、怒りが誘発された時の腹内側前頭前野の活動が高まることが報告されている。出典:Lab BRAINS 怒りの脳科学:怒りの仕組みとその付き合い方https://lab-brains.as-1.co.jp/enjoy-learn/2023/09/53903/

マインドフルネス瞑想とは、過去の後悔やしがらみ、未来の不安、雑念を捨て今この瞬間の自身を客観的に見つめて全身で感じ取ることです。部屋や外の音、光、におい、その感想などを客観視して感覚のみに集中します。はじめはうまくいかないかもしれませんが、リラックスできる環境で毎日少しずつでもトライすると良いでしょう。

優しい言葉をなじませる

また、嫌味であったり攻撃的になってしまう言葉遣いは外部から脳にインプットしたものの影響もあります。日本語は意味がハッキリしていることもあれば比喩、暗喩などもあり多様な表現が可能です。また新しい表現や若者言葉など変化し続けている言語でもあります。

常日頃、優しい表現に触れていると自身の語彙が増加し、表現の幅が広がります。そして気に入った優しい言葉は率先して会話に用いるようにしましょう。すると自然に優しい表現がなじみ、身につくようになります。

「笑顔であいさつしてもらえて、こころがやわらかくなった」

「混んでいて焦っていたけど、みんなの頑張りを見ていたら自分もしっかりしようと思えた!」

「トラブルはあったけど、いま気づけたことがバネになるよね」

と、なるべく周囲にむけた感謝をベースに伝えることが重要です。

ものの見方を変える

また、ものの見方や認知をあらかじめ変える訓練をすることも効果的です。
例えば常にネガティヴな言動をするスタッフがいるとします。やる気がないように見えるため、注意や叱責することもあるでしょう。しかし「この人は心に傷があるのかもしれない」と思うことで、ただ注意をするより「なぜそのような言動をとるか」を深堀りできることがあります。

パワハラ発言を防ぐまとめ

パワハラ発言をしてしまう元の感情は、「怒り」です。その怒りとは、悲しい・困ったといった感情の次に出てくる感情です。

そして自身の環境やストレスの蓄積によって無自覚に増幅されてしまいます。攻撃的な言動をしないためにも、

・怒りの裏にある本質の感情をみつめ、言語化する

・物理的距離を取る

・マインドフルネスな気持ち、また瞑想する時間を作る

・優しい言葉を身につける

上記を意識することで、会社での人間関係をよりあたたかいものにできるはずです。せっかく採用できた人材に定着してもらうためにも、まずは優しい文学書の読書などから始めてみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人

ヒトトセ編集室 A
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